ヒートアイランド(Heat island)は、都市部の気温がその周辺に比べて異常な高温を示す状況を指す。これは近年、都市部で問題視される現象の1つである。東京は、世界でも代表的なヒートアイランドの例である。
関東地方の 9月の平均気温の変動。東京の気温は1930年頃に横浜を上回り、1980年代からは地球温暖化の進行による急上昇も顕著になる。また南から北へと風が流れる夏場の関東では、最大の廃熱排出源である東京より北方での気温上昇が大きく現れている。
概要
「ヒートアイランド」という語は英語からきており、直訳すると「熱の島」であるが、これは気温分布を描いたとき,等温線が都市を中心にして閉じ,ちょうど都市部が周辺から浮いた島のように見えることに由来する。
この異常な温度上昇の主な原因は、ビルや道路のアスファルトによる太陽光の蓄熱、都市部に林立するビルの空調設備から排出される暖気、自動車のエンジンなどから排出される廃熱、樹木の減少によって起こるアーバンドーム(都市部がはげ山と同様の状態になる現象)による土中の保水力低下、これらが都市部のみならず周辺部の気温も異常上昇させ(上図参照)、さらには気象をも異常にしている。その例としては気温の上昇により生じた上昇気流による突然の豪雨、落雷や、高気温が挙げられる。
また、近年高層化が進むビルが、海や川の沿岸部に建てられ、風の流れを遮り、それがさらに都市部の高温化に拍車をかけていることがわかって来ている。
原因
ヒートアイランド現象の原因とされるものを挙げる。どの要素がどの程度ヒートアイランドに寄与しているかは解っていない。
樹木や裸地の減少による、降雨の地面への浸透減少、ひいては蒸発・蒸散量の減少。
大気汚染による、大気が吸収する太陽エネルギーの増加(地球温暖化)。
光反射率の低いアスファルトやコンクリートに覆われることによる、地表面が吸収する太陽エネルギーの増加。
アスファルトやコンクリートによる蓄熱(夜になってもアスファルトやコンクリートからの熱により、気温が下がりにくい)。
産業活動や自動車、空調設備などによる人工排熱。
オフィスビルの情報機器による人工排熱。
高層建築物による、風の流れの変化。
なおヒートアイランドは海岸沿いの都市より内陸の都市で顕著に見られる。これは比較的温度変化の少ない海水が、大気を冷却しているためだと考えられている。内陸の盆地内に位置する都市は大気の循環が悪いため、特にヒートアイランドの影響を受けやすい。
対策
緑化、近年は屋上緑化・壁面緑化の採用も多い。東京都や兵庫県においては条例によって一定の条件下で屋上の緑化が義務付けられている。また多くの都市で助成金が出る。
高光反射率素材・塗料の採用。
透水性舗装・保水性舗装・遮熱性舗装の採用。
「風の道」の確保。水上や郊外から涼しい空気が都心に流れやすいようにする。シュトゥットガルトの事例やベルリンのポツダマープラッツ周辺再開発に伴う事例が有名。
散水、打ち水。
自動車・航空機などの輸送機器、建築物(空調・給湯)からの人工排熱の抑制(利用の抑制、公共交通機関への移行およびモーダルシフトの促進、効率の高い設備の採用など)。
根本的対策としては、郊外への人口分散による都心の過密解消。ただし、郊外に移転した人たちがより一層マイカーを使うようになっては効果は薄れる。